かっぱちゃんに捧げる☆ハッピーバースデー小説(´∀`) [捧げもの]
かっぱちゃんへのバースデーNOVELの後編をお届けします
(⊃д⊂)あまりに長くなりすぎたからね 2回に分けました
SSでスッキリ終わらせたかったなぁ(ーー;)
自分の力のなさを痛感(´;ω;`) うぅ; 落ち込んでもいられないが(^_^;)
それでも、かっぱちゃんが喜んでくれたので良かったぁ(;´д⊂)
なんて優しい人なんだっw あなたは心が広すぐるw
ちょっとは怒ってもいいんだじょ?w 『ウチのキャラになにすんだーーーーーっヽ(`Д´)ノw』 って
(;´ρ`)や、優しく怒ってねw
で、ではでは、後編をお楽しみ下さい
登場キャラクター
<真昼の月より>
榊 ユウ 榊 明日美 佐倉 美咲 野口 あかり 三村 真示
<リヴリー擬人化より>
蒼華
*****←は、場面転換もしくはキャラ視点交代です
キャラの言動はルピナスフレーバーになっておりますので(⊃д⊂)御了承下さい
ハッピーバースデーを探せ !! 後編
ユウの後に続いて足を踏み入れたフラワーショップは、白薔薇と百合で豪華かつ品のあるディスプレイが施され、まるで真っ白いウェディングケーキのようだった。
蒼華がその花々に見惚れていると、店の奥から鈴の音のような澄んだ声が響いてきたのである。
「いらっしゃいませ~、あら? 君は確か……この間の……」
声をかけるまでもなく蒼華達に気付いた店員らしき女性は、ユウの顔を見て何かを思い出している様子だった。
「こんにちは。この間は、素敵な花束をありがとうございました」
「いいえ。それがお仕事ですから」
言いながら目を細めて笑う店員の女性は、確かに柔和な雰囲気の持ち主だった。
彼女が、『優しくてほんわかした人』 なのだろうか。
「すみません、今日はお花を買いに来たんじゃないんです。実は人を探しているんですけど――」
うまく切り出せない蒼華の代わりに、ユウは親切にも話を説明してくれていた。
丁寧に話を進めるユウと、それを真剣に聞き入ってくれている店員の女性を見て、蒼華は自分のしている事が大事になっていく事に不安を覚えていた。
花屋を訪れて人を探している……という突然の言い分は、失礼なのではないか。そもそも、自分が主人を問い詰めれば言いだけの話ではないのか。ユウの後ろで黙って立っている自分は、何がしたいのだろうか。
と、時間が立てば経つほど蒼華の頭の中は悶々としていくのだった。
「――そうですか、それは残念です」
「ごめんなさいね、力になれなくて……」
どうやら話は終わったようだった。
「あの、あの、お話を聞いてくださって、ありがとうございましたっ!」
「蒼華ちゃん?」
蒼華はユウの前に出て頭を下げる。ジッとしている事が困難になったのだ。
「まあ、いいのよ、このくらい。若い子がそんな事気にしちゃダメよ。それより、見つかるといいわねぇ……それにしても、ん~、誰なのかしらねぇ?」
「そ、それが……」
「あら、嫌だ。それが分からないから探してるのよね。ふふ。じゃあ、お姉さんも協力させてもらおうかしら」
突然の申し出に、蒼華はあたふたするばかりだった。これ以上、無関係の人を巻き込む事は出来ないと思ったばかりだったのだ。
「い、いえ、それは……あの、これ以上御迷惑はかけられませんからっ」
「あっ……」
「蒼華ちゃん!」
二人が止めるのも気付かずに蒼華は走り出した。
何でこんなに親切な人達ばかりなのだろう。蒼華は、軽い気持ちでいた自分を恥じていた。これなら、島でアイデアに頭を悩ませている方が良かったのだ。
しかし、衝動的に飛び出し周りの見えていなかった蒼華は、店の入口で人とぶつかってしまったのである。
「きゃっ」
「いたっ……あ、ごめんなさいっ」
衝撃で一瞬閉じた目を開けると、目の前にはショートカットで大きな丸い瞳の女の子がしりもちをついていた。自分の失態に気付いた蒼華は、慌てて女の子に近寄った。
「いたたっ。あぁ、やっちゃった……あ、ありがとう」
「ごめんなさい、ケガはありませんか?」
「ううん、大丈夫。こちらこそごめんね。ちゃんと前を見ていなかったかも、気をつけなきゃ」
くしゃりと破顔した女の子は、パンパンとスカートを祓いながら立ち上がった。
「野口さんっっ!?」
声は、ユウのものだった。
「え? えぇ!? 榊くん!」
振り返ると、蒼華を追いかけてきたユウが驚いた表情のまま立ち尽くしていた。
その後、蒼華が口を開くまで、二人はずっと見詰め合ったままだったのである。
************
まさか、本当に会えるとは思っていなかった。
せっかくの休日を彼と過ごせたらどんなに素敵だろうと、雨が降り続く窓をみて野口あかりは考えていた。
そして、雨が上がり太陽が顔を見せると、勝手に足が動き出したのである。
着いた先は、彼と一緒に訪れた事のある花屋だった。
「榊くん!?」
目の前には、ずっと会いたいと願っていた彼が現実となって現れていた。
どうしてここに!? いや、そんなことよりも彼に会えた奇跡に感謝すべきだった。
「ユウさんのお知り合いですか?」
不注意でぶつかってしまった蒼い瞳の女の子が、ユウを振り返った。顔見知りなのだろうか?
「野口さん? どうしたの?」
「あ、えっと……なんとなく、お花を買いたくなって、ふらふら~っと……榊くんは?」
ユウの隣に立つ女の子をちらりと見やった。年下だろうか、栗色の髪がふわふわしていて可愛らしい。
「そうなんだ。僕達は別の用事で来たんだけど、今から帰るところだったんだ。あ、この子は蒼華ちゃん。えっと、ブルーストーン島っていうところから来たんだって」
蒼華の紹介をしてくれるユウの表情は、どこか困惑しているようにも見えた。
「はじめまして、蒼華といいます。あの、さっきはごめんなさい」
蒼華という少女は、丁寧に何度も謝罪してくれた。とっても素直な子なんだな、とあかりは好感を持ち始めていた。
「あ、そうだ! せっかくだから野口さんにも聞いてみようかな? ね? 蒼華ちゃん」
「え? いいんですか?」
何のことを言ってるのかさっぱり理解できないあかりは、一人おいてけぼりにされた気分だった。
「な、なに? 何のこと? 榊くん?」
「えっとね……実は、この蒼華ちゃんが人を探してて――――」
ユウが説明する傍らで蒼華という女の子は、申し訳なさそうに、しかし、何かに縋るような瞳で立っていた。
話を聞けば、ユウは蒼華の人探しを手伝っているだけのようで、手がかりは何も掴めていないのだと残念そうに言う。どうやら親しい仲ではないようだ。
「ごめんね~、私じゃないかも。蒼華ちゃんの主人っていう人にも心あたりがないし……」
「そうかぁ、残念だったね、蒼華ちゃん」
「はい……いえ、ありがとうございました……えっと……」
蒼華の瞳があかりの顔を見上げながら彷徨っている。
「あ、私、野口あかりって言うの。よろしくね、蒼華ちゃん」
「こちらこそ、よろしくお願いします。あかりさん」
丁寧に頭を下げる蒼華に『さん』付けで呼ばれるのは、なんがかこそばゆいものがあった。
「いえいえ、そっかぁ、何処にいるんだろうねぇ? 蒼華ちゃんの探し人。やさしくてほんわかした人か~、まるで榊くんの事みたいだよね?」
「え? 僕?」
「うん」
頬を赤らめたあかりが言うと、ユウは照れたように否定した。
「そ、そんな事ないよ」
「え~、榊くんは優しいよ!」
「そ、そうかなぁ」
「うん、絶対そう!」
力強く肯定したあかりは自分の言葉に満足していた。彼は誰にでも優しいのである。だからこそ、蒼華の人探しを手伝っているのだ。
そう思って蒼華を振り返ると、蒼い瞳を見開いてキョトンとした顔で二人を見ていたのである。
「あ、ご、ごご、ごめん。蒼華ちゃん。話がそれちゃったね……えっと、何処にいるかって事だったよね……どこ、だろうね?」
つい蒼華の存在を忘れそうになってしまった事に後ろめたさを感じて苦笑した。
刹那――
「それは、ここではない!」
低い男の声がした。
振り向いた視線の先にいたのは、制服姿の三村真示だった。
************
「ここじゃないって、どういうことですか!?」
突然現れた制服姿の男の人に、蒼華は問いかけた。彼は、ふっと息をつくと真剣な眼差しで3人を交互に見回した。
「三村くん? 制服姿でどうしたの? 今日は学校は休みだよ?」
至極まっとうな疑問を投げかけるユウに、三村と呼ばれた男は無表情のまま言った。
「お前達はな。むこうではこれが俺の正装なんだ、気にするな」
「正装? むこうって……何のこと?」
蒼華の隣に立つユウは、酷く混乱した顔で三村を見ていた。
「そんなことより、お前。蒼華。行く場所を間違えてるぞ……俺が迎えにきてやった」
淡々と話を進める三村は、おろおろとするあかりの横を抜け蒼華の前へと詰め寄ってきた。恐怖は感じないが感情の読めない人だと蒼華は思った。
「あの……私は、行く場所を間違えてた……んですか?」
「そうだ」
迷いなく即答する三村の答えに、蒼華はがっくりと肩を落とした。
「三村くんは、蒼華ちゃんの事知っているの? 何処へ行くべきなのかも?」
未だ動揺を隠せないユウが質問する。
「知っている。いや……正しくは、先刻知らされたばかりだが。そんな細かい事はどちらでもいい。さあ、行くぞ。蒼華」
「え? え? あ、はい。きゃっ――」
蒼華から視線を外さずにユウの質問に答えた三村は、蒼華を抱え上げた。
「大人しくしていろ……落ちたら、こちらが迷惑だ」
「あ、はい」
間近に見る三村の真顔には迫力があった。
「ちょ、ちょっと待って、三村くん。蒼華ちゃんをどこへ連れて行くの? 僕達にも分かるように説明して……」
「それは出来ない。ただ……お前達にこれ以上関わらせるわけにはいかないんだ。壊れてしまうからな……」
三村の言ってる事が何なのか、蒼華にはさっぱり検討もつかなかった。
「三村くん!」
三村は、ユウの言葉を無視して歩き出した。
すると――
「お待ちなさい」
声の主は 『フラワーショップさくら』 で会った店員の女性だった。
************
この役に適任なのは自分ではない。
そう進言した真示の要求は、不本意なまま一方通行に終わってしまった。
なぜ自分が迷子のリヴリーを迎えになど行かなければならないのか、理解に苦しんでいた。子供の相手なら、ユウかあかりが適任なのではないか。
そう思いはしたが、ブツブツと不平不満を垂れ流すのは趣味ではないので、真示から依頼主へのクレームは出ない。
だが、不満がないわけではないのだ。
面倒な仕事なら手早く片付けてしまおうと気持ちを切り替え、真示は迷子を迎えに来ていた。
「……何だ?」
真示は、威圧感を抑える事無く相手の姿を確認した。
「お待ちなさいな。突然、小さな女の子をさらうのは犯罪よ。せめて、別れの挨拶をする時間くらいもらえないのかしら?」
店の奥から姿を現したのは、佐倉美咲である。
「……急いでいる。そんな余裕はない……いいな? 蒼華」
「え? あ、は……はい」
腕の中にすっぽりと納まった小さな少女は、戸惑いながらも小さく頷いた。一応、自分の立場を理解しているのだろう。
「あらあら。強引なのも素敵だけれど、せっかちさんは嫌われてしまうわよ? 蒼華ちゃんを……降ろしていただけないかしら?」
「…………」
降ろして欲しい……というお願いではない事は、彼女の身を包む静かな覇気が物語っていた。
一触即発――真示の脳裏に浮かんだ文字は、現在の局面においてもっとも相応しい言葉だったといえよう。
だが、数分の――いや、数秒にも満たなかったであろう沈黙の糸をあっさりと回収してしまったのは、当事者の二人……ではなく、状況を飲み込めずにあたふたする少女、あかりだった。
「あ、あの……三村くん。大丈夫なんだよね? 三村くんは蒼華ちゃんの事知ってて、それで迎えに来たんだよね? だから、ちゃんと蒼華ちゃんが探している人の所へ連れて行ってくれるんだよね? ね? そうでしょ?」
「……ああ」
真示が肯定すると、あかりは満面の笑みを浮かべて喜んでいた。
「良かったぁ~~。そっかぁ、三村くんの知り合いだったんだねぇ。良かったね、蒼華ちゃん」
「……は、はい……ありがとう、ございます…………」
あかりは満足そうにしていたが、蒼華の声には力がなかった。
何処へ連れて行かれるかも分からずに困惑している為だろう。どうせ、自分の失態が何なのかさえ気付いてはいないのだ。だからと言って、親切かつ丁寧に説明している暇はない。
「行くぞ」
今度こそ――そう思った時、またも邪魔が入ってしまったのである。
「ちょっと待て」
「明日美姉さん!?」
ユウの視線の先には、榊明日美が立っていた。
何故、あなたがここに――真示がその疑問を口にするより早く、明日美は声を大きくして話し始めた。
「ああ、間に合ったようだな……さっき、連絡をもらった……私の主人ともいうべき人物からだ……」
「主人……て? 明日美姉さんに主人なんて、いたの?」
更に混乱した様子のユウを横目に、明日美は話し続けた。
「……まあ……作者……と言った方が分かりやすいだろう。彼女……つまり蒼華は、主人の友人の子供だ」
「こっ…………」
ユウは声を発する事も出来ずに明日美を見ていた。あかりにいたっては、既に思考を止めているようだった。
「蒼華が探している人物というのは、主人……真昼の月の作者のことだろう。違うか? 三村真示」
「…………ああ」
真示は躊躇いがちに答えた。そんな事まで話してしまって良いのだろうか? 物語を壊さないよう、慎重に行動しろと指示を受けてきたというのに。特に、主人公であるユウは丁重に扱えという事だったのだが、もはや錯乱状態一歩手前の様子である。
「それで? 私達にどうしろとおっしゃるのかしら? 榊明日美さん……」
沈黙を保っていた美咲が問う。真示はややこしくなりそうな予感がしていた。
「……美咲……そう、突っかかるな……お前の気持ちは分かる、だが、抑えてくれ……三村真示……蒼華と彼らに別れの挨拶をさせてやってくれ」
「しかし、それは――」
「事の収拾は私が付ける……だから頼む…………物語を修正するにしても、心に迷いや歪(ひず)みを残しておきたくはないのだ……この通りだ」
「あ、明日美姉さん!?」
常に自信に満ち溢れ、沈着冷静かつプライドの高いあの榊明日美が、目の前で慇懃(いんぎん)に頭を下げていた。
これは強制ではない。
だが、彼女のこれ以上ない懇願(こんがん)に対抗する術を、真示は持っていなかったのである。
************
「ありがとうございました」
蒼華が丁寧に頭を下げる向こう側には、初対面にも関わらず快く受け入れてくれたユウと、拒否されてもおかしくない意味不明な難題に対処してくれた明日美と、絶対的な信頼と安心感を抱かせる不思議なオーラの持ち主である美咲、そして、緩やかに澄んだ空気で周りを元気にしてしまうあかりが、それぞれの笑顔で立っていた。
「蒼華ちゃん、見つかってよかったね。また、良かったらいつでも遊びに来てね。今度は、蒼華ちゃんの好きな飲み物を用意して待ってるよ」
散々混乱させてしまったにも関わらず、ユウの笑顔は最後までたっぷりと空気を含んだスポンジのように柔らかくて優しかった。
「……次は、迷子になるな……女の子の一人歩きは危ないぞ…………二人暮らしだから、たまには人数が増えるのも悪くはない……な」
不器用でも心はとても温かい明日美の言葉は、蒼華の心にジンと染み渡っていた。今度来る時は、コーヒーに合うお菓子を持参しようと決意していた。
「もう、行ってしまうのね。せっかく出会えたのに、寂しいわ……今度はお姉さんとも沢山お話しましょうね、ふふ。綺麗で可愛らしいお花を沢山仕入れておくわ」
気高い品格に包まれた美咲の立ち振る舞いは、どこかの女王のように全てを包むおおらかさがあった。ほんの一言くらいしか話していない彼女に、安心感を抱いていた蒼華は何度も首を縦に振り乱した。
「えっと、蒼華ちゃん。探している人に会えてよかったね。何にもしてあげられなかったけど、今度来たら一緒に遊ぼうね。蒼華ちゃんに会えて良かったよ」
蒼華の瞳を真っ直ぐに見つめて、ゆっくりと一言一言を丁寧に話すあかりは、とても明るくて自分の気持ちを何でも打ち明けてしまいたくなる不思議な女の子だった。
蒼華は、顔をあげて全員を見つめた。
視界がぼやけて歪んでゆく。歯を食いしばっているはずなのに。
彼らと接したのは、ほんの僅かな時間だった。家族と呼ぶには短すぎる……知人と呼ぶには深すぎた時間。
「あの……・あの…………」
声がうまく出てこない。言いたいことは山ほどあった。
ポン……と、後ろに立っていた真示の手が肩に触れるのが分かった。もう、行かなくてはいけない時間なのだ。
「……そろそろ、限界だ……」
真示の声が力強く響く。
その場にいた全員の気が乱れるのが分かった。
「はっ……あ、あの……あたし……っ」
慌てて言葉を紡ごうとしても嗚咽交じりの蒼華の声は、言葉にならなかった。
頬を伝う涙が唇をなぞり、泣いているのだと実感する。
「蒼華ちゃんっっ……ひっく……ぅ……」
涙に詰まるあかりの声が聞こえたと同時に、蒼華の体は真示に抱き上げられた。そのまま、二人で宙へと浮かんでゆく。
「あっ……まっ……」
待ってと言おうとして、それが無駄だという事に気付いた蒼華は、慌てて地面を振り返った。
「またねー。蒼華ちゃん」
「蒼華ちゃんっっ……うぅ……元気でね」
ユウとあかりが手を振ってくれている。明日美と美咲は優しく見守ってくれていた。
思わぬ速さで小さくなっていく彼らの姿に、蒼華は大きな声を振り絞った。
「本当にありがとうございましたーー。また遊びに来ます! だから、それまで待ってて下さいねーー!」
言葉が全て届いたかどうかは分からない。言い終わった時には、既に彼らの姿は見えなくなってしまっていたからだ。
「……気は済んだか……」
ぐずぐずと鼻を啜る蒼華を抱き上げたまま、真示が言った。
既に雲の間を抜け、空に手が届きそうなところまで昇りつめていた。
「……はい……」
「そうか……」
蒼華は、再び眼下を見下ろすと今はもう見えない地上を思い浮かべた。
必ず、また来よう。
そう心に決めて、真示にしっかりとしがみ付いたのである。
************
【エピローグ】
「出来たーーーーー」
誕生日ケーキのデザインを描いたスケッチブックを高々と掲げて蒼華は叫んだ。
「どれどれ? ふーーーーん、いい出来じゃない」
またもや人の島に用もなく訪れた主人は、勝手にスケッチブックをのぞき見て満足げに頷いている。
「ちょっと、勝手に見ないでよ」
「えーー、ちょっとくらいいーじゃーーーん。そのアイデアは、冒険の賜物なのかな? いやあ、無事でよかったねぇ、ホント」
嫌味のように冒険の箇所を強調する主人に、蒼華の返す言葉はない。
「うっ……だって、優しいとほんわかだけじゃ分からなかったんだもん。本人に会ってちゃんとデザインしようと思ったんだもん」
「はいはい、分かってますよ」
主人であるルピナスは適当にあしらうようにして、まだどこかへと消えていった。
「もう……それなら自分で作ればいいのに」
ブツブツと文句を言いながら、蒼華は再びスケッチブックを眺めた。
今回の冒険は、蒼華にとって収穫の多いものだったが、とんでもないハプニングだった事は言うまでもなかった。
主人の友人に会いに行くつもりが、誤って作品の中へと入り込んでしまったのだから。
幸い、異変に気が付いた作者が救出の手を差し伸べてくれたのだが、帰還したとたん、作者である友人に会えるかもしれないという思惑は、自分の主人の怒号とともに吹き飛んだ。
真示の手助けにより脱出した先に待ち構えていたのは、主人であるルピナスで、蒼華の首を引っ掴んで脱兎の如く強制送還したのである。
当然、謝罪には主人が赴いたらしいのだが、件の友人の寛容な人柄でお咎めはなしという事になった。
しかし、ケーキの材料を準備しながら蒼華は思った。
また、みんなに会いに行きたいなぁ、と。
おしまい
おしまいですw ((((;゜Д゜)))ど、どうだったでしょう???????
とりあえず、長すぎてごめんなさいっっっ><;
終わり方もなんか無理矢理だ(´_`。) あう;
真昼の月のキャラたちのイメージを壊してしまっている気がして((((;゜Д゜))) こわいです;
だからみなさん、本家の小説を読んでくださいね(´∀`) 目の保養、口直ししてくらはいw
キャラをお借りするに当たって、真示くんをどうしても出演させたかったので
こんなに長くなりました(ーー;) も、申し訳ないw
えっと、趣味ですwww
一気に書き上げたので、内容的にちゃんとまとまっているか不安要素が多々・・・・・・・
・・・・・・・も、もういいわけもすまい・・・・・・・orz;
とにかく、かっぱちゃん お誕生日おめでとうございますヽ(*´∀`)ノ♪
文章は微妙ですが、心は全開に込めましたw
喜んでもらえたら嬉しいです♪
by ルピナス (*^-^*)
(⊃д⊂)あまりに長くなりすぎたからね 2回に分けました
SSでスッキリ終わらせたかったなぁ(ーー;)
自分の力のなさを痛感(´;ω;`) うぅ; 落ち込んでもいられないが(^_^;)
それでも、かっぱちゃんが喜んでくれたので良かったぁ(;´д⊂)
なんて優しい人なんだっw あなたは心が広すぐるw
ちょっとは怒ってもいいんだじょ?w 『ウチのキャラになにすんだーーーーーっヽ(`Д´)ノw』 って
(;´ρ`)や、優しく怒ってねw
で、ではでは、後編をお楽しみ下さい
登場キャラクター
<真昼の月より>
榊 ユウ 榊 明日美 佐倉 美咲 野口 あかり 三村 真示
<リヴリー擬人化より>
蒼華
*****←は、場面転換もしくはキャラ視点交代です
キャラの言動はルピナスフレーバーになっておりますので(⊃д⊂)御了承下さい
ハッピーバースデーを探せ !! 後編
ユウの後に続いて足を踏み入れたフラワーショップは、白薔薇と百合で豪華かつ品のあるディスプレイが施され、まるで真っ白いウェディングケーキのようだった。
蒼華がその花々に見惚れていると、店の奥から鈴の音のような澄んだ声が響いてきたのである。
「いらっしゃいませ~、あら? 君は確か……この間の……」
声をかけるまでもなく蒼華達に気付いた店員らしき女性は、ユウの顔を見て何かを思い出している様子だった。
「こんにちは。この間は、素敵な花束をありがとうございました」
「いいえ。それがお仕事ですから」
言いながら目を細めて笑う店員の女性は、確かに柔和な雰囲気の持ち主だった。
彼女が、『優しくてほんわかした人』 なのだろうか。
「すみません、今日はお花を買いに来たんじゃないんです。実は人を探しているんですけど――」
うまく切り出せない蒼華の代わりに、ユウは親切にも話を説明してくれていた。
丁寧に話を進めるユウと、それを真剣に聞き入ってくれている店員の女性を見て、蒼華は自分のしている事が大事になっていく事に不安を覚えていた。
花屋を訪れて人を探している……という突然の言い分は、失礼なのではないか。そもそも、自分が主人を問い詰めれば言いだけの話ではないのか。ユウの後ろで黙って立っている自分は、何がしたいのだろうか。
と、時間が立てば経つほど蒼華の頭の中は悶々としていくのだった。
「――そうですか、それは残念です」
「ごめんなさいね、力になれなくて……」
どうやら話は終わったようだった。
「あの、あの、お話を聞いてくださって、ありがとうございましたっ!」
「蒼華ちゃん?」
蒼華はユウの前に出て頭を下げる。ジッとしている事が困難になったのだ。
「まあ、いいのよ、このくらい。若い子がそんな事気にしちゃダメよ。それより、見つかるといいわねぇ……それにしても、ん~、誰なのかしらねぇ?」
「そ、それが……」
「あら、嫌だ。それが分からないから探してるのよね。ふふ。じゃあ、お姉さんも協力させてもらおうかしら」
突然の申し出に、蒼華はあたふたするばかりだった。これ以上、無関係の人を巻き込む事は出来ないと思ったばかりだったのだ。
「い、いえ、それは……あの、これ以上御迷惑はかけられませんからっ」
「あっ……」
「蒼華ちゃん!」
二人が止めるのも気付かずに蒼華は走り出した。
何でこんなに親切な人達ばかりなのだろう。蒼華は、軽い気持ちでいた自分を恥じていた。これなら、島でアイデアに頭を悩ませている方が良かったのだ。
しかし、衝動的に飛び出し周りの見えていなかった蒼華は、店の入口で人とぶつかってしまったのである。
「きゃっ」
「いたっ……あ、ごめんなさいっ」
衝撃で一瞬閉じた目を開けると、目の前にはショートカットで大きな丸い瞳の女の子がしりもちをついていた。自分の失態に気付いた蒼華は、慌てて女の子に近寄った。
「いたたっ。あぁ、やっちゃった……あ、ありがとう」
「ごめんなさい、ケガはありませんか?」
「ううん、大丈夫。こちらこそごめんね。ちゃんと前を見ていなかったかも、気をつけなきゃ」
くしゃりと破顔した女の子は、パンパンとスカートを祓いながら立ち上がった。
「野口さんっっ!?」
声は、ユウのものだった。
「え? えぇ!? 榊くん!」
振り返ると、蒼華を追いかけてきたユウが驚いた表情のまま立ち尽くしていた。
その後、蒼華が口を開くまで、二人はずっと見詰め合ったままだったのである。
************
まさか、本当に会えるとは思っていなかった。
せっかくの休日を彼と過ごせたらどんなに素敵だろうと、雨が降り続く窓をみて野口あかりは考えていた。
そして、雨が上がり太陽が顔を見せると、勝手に足が動き出したのである。
着いた先は、彼と一緒に訪れた事のある花屋だった。
「榊くん!?」
目の前には、ずっと会いたいと願っていた彼が現実となって現れていた。
どうしてここに!? いや、そんなことよりも彼に会えた奇跡に感謝すべきだった。
「ユウさんのお知り合いですか?」
不注意でぶつかってしまった蒼い瞳の女の子が、ユウを振り返った。顔見知りなのだろうか?
「野口さん? どうしたの?」
「あ、えっと……なんとなく、お花を買いたくなって、ふらふら~っと……榊くんは?」
ユウの隣に立つ女の子をちらりと見やった。年下だろうか、栗色の髪がふわふわしていて可愛らしい。
「そうなんだ。僕達は別の用事で来たんだけど、今から帰るところだったんだ。あ、この子は蒼華ちゃん。えっと、ブルーストーン島っていうところから来たんだって」
蒼華の紹介をしてくれるユウの表情は、どこか困惑しているようにも見えた。
「はじめまして、蒼華といいます。あの、さっきはごめんなさい」
蒼華という少女は、丁寧に何度も謝罪してくれた。とっても素直な子なんだな、とあかりは好感を持ち始めていた。
「あ、そうだ! せっかくだから野口さんにも聞いてみようかな? ね? 蒼華ちゃん」
「え? いいんですか?」
何のことを言ってるのかさっぱり理解できないあかりは、一人おいてけぼりにされた気分だった。
「な、なに? 何のこと? 榊くん?」
「えっとね……実は、この蒼華ちゃんが人を探してて――――」
ユウが説明する傍らで蒼華という女の子は、申し訳なさそうに、しかし、何かに縋るような瞳で立っていた。
話を聞けば、ユウは蒼華の人探しを手伝っているだけのようで、手がかりは何も掴めていないのだと残念そうに言う。どうやら親しい仲ではないようだ。
「ごめんね~、私じゃないかも。蒼華ちゃんの主人っていう人にも心あたりがないし……」
「そうかぁ、残念だったね、蒼華ちゃん」
「はい……いえ、ありがとうございました……えっと……」
蒼華の瞳があかりの顔を見上げながら彷徨っている。
「あ、私、野口あかりって言うの。よろしくね、蒼華ちゃん」
「こちらこそ、よろしくお願いします。あかりさん」
丁寧に頭を下げる蒼華に『さん』付けで呼ばれるのは、なんがかこそばゆいものがあった。
「いえいえ、そっかぁ、何処にいるんだろうねぇ? 蒼華ちゃんの探し人。やさしくてほんわかした人か~、まるで榊くんの事みたいだよね?」
「え? 僕?」
「うん」
頬を赤らめたあかりが言うと、ユウは照れたように否定した。
「そ、そんな事ないよ」
「え~、榊くんは優しいよ!」
「そ、そうかなぁ」
「うん、絶対そう!」
力強く肯定したあかりは自分の言葉に満足していた。彼は誰にでも優しいのである。だからこそ、蒼華の人探しを手伝っているのだ。
そう思って蒼華を振り返ると、蒼い瞳を見開いてキョトンとした顔で二人を見ていたのである。
「あ、ご、ごご、ごめん。蒼華ちゃん。話がそれちゃったね……えっと、何処にいるかって事だったよね……どこ、だろうね?」
つい蒼華の存在を忘れそうになってしまった事に後ろめたさを感じて苦笑した。
刹那――
「それは、ここではない!」
低い男の声がした。
振り向いた視線の先にいたのは、制服姿の三村真示だった。
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「ここじゃないって、どういうことですか!?」
突然現れた制服姿の男の人に、蒼華は問いかけた。彼は、ふっと息をつくと真剣な眼差しで3人を交互に見回した。
「三村くん? 制服姿でどうしたの? 今日は学校は休みだよ?」
至極まっとうな疑問を投げかけるユウに、三村と呼ばれた男は無表情のまま言った。
「お前達はな。むこうではこれが俺の正装なんだ、気にするな」
「正装? むこうって……何のこと?」
蒼華の隣に立つユウは、酷く混乱した顔で三村を見ていた。
「そんなことより、お前。蒼華。行く場所を間違えてるぞ……俺が迎えにきてやった」
淡々と話を進める三村は、おろおろとするあかりの横を抜け蒼華の前へと詰め寄ってきた。恐怖は感じないが感情の読めない人だと蒼華は思った。
「あの……私は、行く場所を間違えてた……んですか?」
「そうだ」
迷いなく即答する三村の答えに、蒼華はがっくりと肩を落とした。
「三村くんは、蒼華ちゃんの事知っているの? 何処へ行くべきなのかも?」
未だ動揺を隠せないユウが質問する。
「知っている。いや……正しくは、先刻知らされたばかりだが。そんな細かい事はどちらでもいい。さあ、行くぞ。蒼華」
「え? え? あ、はい。きゃっ――」
蒼華から視線を外さずにユウの質問に答えた三村は、蒼華を抱え上げた。
「大人しくしていろ……落ちたら、こちらが迷惑だ」
「あ、はい」
間近に見る三村の真顔には迫力があった。
「ちょ、ちょっと待って、三村くん。蒼華ちゃんをどこへ連れて行くの? 僕達にも分かるように説明して……」
「それは出来ない。ただ……お前達にこれ以上関わらせるわけにはいかないんだ。壊れてしまうからな……」
三村の言ってる事が何なのか、蒼華にはさっぱり検討もつかなかった。
「三村くん!」
三村は、ユウの言葉を無視して歩き出した。
すると――
「お待ちなさい」
声の主は 『フラワーショップさくら』 で会った店員の女性だった。
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この役に適任なのは自分ではない。
そう進言した真示の要求は、不本意なまま一方通行に終わってしまった。
なぜ自分が迷子のリヴリーを迎えになど行かなければならないのか、理解に苦しんでいた。子供の相手なら、ユウかあかりが適任なのではないか。
そう思いはしたが、ブツブツと不平不満を垂れ流すのは趣味ではないので、真示から依頼主へのクレームは出ない。
だが、不満がないわけではないのだ。
面倒な仕事なら手早く片付けてしまおうと気持ちを切り替え、真示は迷子を迎えに来ていた。
「……何だ?」
真示は、威圧感を抑える事無く相手の姿を確認した。
「お待ちなさいな。突然、小さな女の子をさらうのは犯罪よ。せめて、別れの挨拶をする時間くらいもらえないのかしら?」
店の奥から姿を現したのは、佐倉美咲である。
「……急いでいる。そんな余裕はない……いいな? 蒼華」
「え? あ、は……はい」
腕の中にすっぽりと納まった小さな少女は、戸惑いながらも小さく頷いた。一応、自分の立場を理解しているのだろう。
「あらあら。強引なのも素敵だけれど、せっかちさんは嫌われてしまうわよ? 蒼華ちゃんを……降ろしていただけないかしら?」
「…………」
降ろして欲しい……というお願いではない事は、彼女の身を包む静かな覇気が物語っていた。
一触即発――真示の脳裏に浮かんだ文字は、現在の局面においてもっとも相応しい言葉だったといえよう。
だが、数分の――いや、数秒にも満たなかったであろう沈黙の糸をあっさりと回収してしまったのは、当事者の二人……ではなく、状況を飲み込めずにあたふたする少女、あかりだった。
「あ、あの……三村くん。大丈夫なんだよね? 三村くんは蒼華ちゃんの事知ってて、それで迎えに来たんだよね? だから、ちゃんと蒼華ちゃんが探している人の所へ連れて行ってくれるんだよね? ね? そうでしょ?」
「……ああ」
真示が肯定すると、あかりは満面の笑みを浮かべて喜んでいた。
「良かったぁ~~。そっかぁ、三村くんの知り合いだったんだねぇ。良かったね、蒼華ちゃん」
「……は、はい……ありがとう、ございます…………」
あかりは満足そうにしていたが、蒼華の声には力がなかった。
何処へ連れて行かれるかも分からずに困惑している為だろう。どうせ、自分の失態が何なのかさえ気付いてはいないのだ。だからと言って、親切かつ丁寧に説明している暇はない。
「行くぞ」
今度こそ――そう思った時、またも邪魔が入ってしまったのである。
「ちょっと待て」
「明日美姉さん!?」
ユウの視線の先には、榊明日美が立っていた。
何故、あなたがここに――真示がその疑問を口にするより早く、明日美は声を大きくして話し始めた。
「ああ、間に合ったようだな……さっき、連絡をもらった……私の主人ともいうべき人物からだ……」
「主人……て? 明日美姉さんに主人なんて、いたの?」
更に混乱した様子のユウを横目に、明日美は話し続けた。
「……まあ……作者……と言った方が分かりやすいだろう。彼女……つまり蒼華は、主人の友人の子供だ」
「こっ…………」
ユウは声を発する事も出来ずに明日美を見ていた。あかりにいたっては、既に思考を止めているようだった。
「蒼華が探している人物というのは、主人……真昼の月の作者のことだろう。違うか? 三村真示」
「…………ああ」
真示は躊躇いがちに答えた。そんな事まで話してしまって良いのだろうか? 物語を壊さないよう、慎重に行動しろと指示を受けてきたというのに。特に、主人公であるユウは丁重に扱えという事だったのだが、もはや錯乱状態一歩手前の様子である。
「それで? 私達にどうしろとおっしゃるのかしら? 榊明日美さん……」
沈黙を保っていた美咲が問う。真示はややこしくなりそうな予感がしていた。
「……美咲……そう、突っかかるな……お前の気持ちは分かる、だが、抑えてくれ……三村真示……蒼華と彼らに別れの挨拶をさせてやってくれ」
「しかし、それは――」
「事の収拾は私が付ける……だから頼む…………物語を修正するにしても、心に迷いや歪(ひず)みを残しておきたくはないのだ……この通りだ」
「あ、明日美姉さん!?」
常に自信に満ち溢れ、沈着冷静かつプライドの高いあの榊明日美が、目の前で慇懃(いんぎん)に頭を下げていた。
これは強制ではない。
だが、彼女のこれ以上ない懇願(こんがん)に対抗する術を、真示は持っていなかったのである。
************
「ありがとうございました」
蒼華が丁寧に頭を下げる向こう側には、初対面にも関わらず快く受け入れてくれたユウと、拒否されてもおかしくない意味不明な難題に対処してくれた明日美と、絶対的な信頼と安心感を抱かせる不思議なオーラの持ち主である美咲、そして、緩やかに澄んだ空気で周りを元気にしてしまうあかりが、それぞれの笑顔で立っていた。
「蒼華ちゃん、見つかってよかったね。また、良かったらいつでも遊びに来てね。今度は、蒼華ちゃんの好きな飲み物を用意して待ってるよ」
散々混乱させてしまったにも関わらず、ユウの笑顔は最後までたっぷりと空気を含んだスポンジのように柔らかくて優しかった。
「……次は、迷子になるな……女の子の一人歩きは危ないぞ…………二人暮らしだから、たまには人数が増えるのも悪くはない……な」
不器用でも心はとても温かい明日美の言葉は、蒼華の心にジンと染み渡っていた。今度来る時は、コーヒーに合うお菓子を持参しようと決意していた。
「もう、行ってしまうのね。せっかく出会えたのに、寂しいわ……今度はお姉さんとも沢山お話しましょうね、ふふ。綺麗で可愛らしいお花を沢山仕入れておくわ」
気高い品格に包まれた美咲の立ち振る舞いは、どこかの女王のように全てを包むおおらかさがあった。ほんの一言くらいしか話していない彼女に、安心感を抱いていた蒼華は何度も首を縦に振り乱した。
「えっと、蒼華ちゃん。探している人に会えてよかったね。何にもしてあげられなかったけど、今度来たら一緒に遊ぼうね。蒼華ちゃんに会えて良かったよ」
蒼華の瞳を真っ直ぐに見つめて、ゆっくりと一言一言を丁寧に話すあかりは、とても明るくて自分の気持ちを何でも打ち明けてしまいたくなる不思議な女の子だった。
蒼華は、顔をあげて全員を見つめた。
視界がぼやけて歪んでゆく。歯を食いしばっているはずなのに。
彼らと接したのは、ほんの僅かな時間だった。家族と呼ぶには短すぎる……知人と呼ぶには深すぎた時間。
「あの……・あの…………」
声がうまく出てこない。言いたいことは山ほどあった。
ポン……と、後ろに立っていた真示の手が肩に触れるのが分かった。もう、行かなくてはいけない時間なのだ。
「……そろそろ、限界だ……」
真示の声が力強く響く。
その場にいた全員の気が乱れるのが分かった。
「はっ……あ、あの……あたし……っ」
慌てて言葉を紡ごうとしても嗚咽交じりの蒼華の声は、言葉にならなかった。
頬を伝う涙が唇をなぞり、泣いているのだと実感する。
「蒼華ちゃんっっ……ひっく……ぅ……」
涙に詰まるあかりの声が聞こえたと同時に、蒼華の体は真示に抱き上げられた。そのまま、二人で宙へと浮かんでゆく。
「あっ……まっ……」
待ってと言おうとして、それが無駄だという事に気付いた蒼華は、慌てて地面を振り返った。
「またねー。蒼華ちゃん」
「蒼華ちゃんっっ……うぅ……元気でね」
ユウとあかりが手を振ってくれている。明日美と美咲は優しく見守ってくれていた。
思わぬ速さで小さくなっていく彼らの姿に、蒼華は大きな声を振り絞った。
「本当にありがとうございましたーー。また遊びに来ます! だから、それまで待ってて下さいねーー!」
言葉が全て届いたかどうかは分からない。言い終わった時には、既に彼らの姿は見えなくなってしまっていたからだ。
「……気は済んだか……」
ぐずぐずと鼻を啜る蒼華を抱き上げたまま、真示が言った。
既に雲の間を抜け、空に手が届きそうなところまで昇りつめていた。
「……はい……」
「そうか……」
蒼華は、再び眼下を見下ろすと今はもう見えない地上を思い浮かべた。
必ず、また来よう。
そう心に決めて、真示にしっかりとしがみ付いたのである。
************
【エピローグ】
「出来たーーーーー」
誕生日ケーキのデザインを描いたスケッチブックを高々と掲げて蒼華は叫んだ。
「どれどれ? ふーーーーん、いい出来じゃない」
またもや人の島に用もなく訪れた主人は、勝手にスケッチブックをのぞき見て満足げに頷いている。
「ちょっと、勝手に見ないでよ」
「えーー、ちょっとくらいいーじゃーーーん。そのアイデアは、冒険の賜物なのかな? いやあ、無事でよかったねぇ、ホント」
嫌味のように冒険の箇所を強調する主人に、蒼華の返す言葉はない。
「うっ……だって、優しいとほんわかだけじゃ分からなかったんだもん。本人に会ってちゃんとデザインしようと思ったんだもん」
「はいはい、分かってますよ」
主人であるルピナスは適当にあしらうようにして、まだどこかへと消えていった。
「もう……それなら自分で作ればいいのに」
ブツブツと文句を言いながら、蒼華は再びスケッチブックを眺めた。
今回の冒険は、蒼華にとって収穫の多いものだったが、とんでもないハプニングだった事は言うまでもなかった。
主人の友人に会いに行くつもりが、誤って作品の中へと入り込んでしまったのだから。
幸い、異変に気が付いた作者が救出の手を差し伸べてくれたのだが、帰還したとたん、作者である友人に会えるかもしれないという思惑は、自分の主人の怒号とともに吹き飛んだ。
真示の手助けにより脱出した先に待ち構えていたのは、主人であるルピナスで、蒼華の首を引っ掴んで脱兎の如く強制送還したのである。
当然、謝罪には主人が赴いたらしいのだが、件の友人の寛容な人柄でお咎めはなしという事になった。
しかし、ケーキの材料を準備しながら蒼華は思った。
また、みんなに会いに行きたいなぁ、と。
おしまい
おしまいですw ((((;゜Д゜)))ど、どうだったでしょう???????
とりあえず、長すぎてごめんなさいっっっ><;
終わり方もなんか無理矢理だ(´_`。) あう;
真昼の月のキャラたちのイメージを壊してしまっている気がして((((;゜Д゜))) こわいです;
だからみなさん、本家の小説を読んでくださいね(´∀`) 目の保養、口直ししてくらはいw
キャラをお借りするに当たって、真示くんをどうしても出演させたかったので
こんなに長くなりました(ーー;) も、申し訳ないw
えっと、趣味ですwww
一気に書き上げたので、内容的にちゃんとまとまっているか不安要素が多々・・・・・・・
・・・・・・・も、もういいわけもすまい・・・・・・・orz;
とにかく、かっぱちゃん お誕生日おめでとうございますヽ(*´∀`)ノ♪
文章は微妙ですが、心は全開に込めましたw
喜んでもらえたら嬉しいです♪
by ルピナス (*^-^*)
るぴさん、こんばんばん(・◇・)ノシ
後編もとっても楽しく読ませてもらったですにゃ~。
ほにゃ(・ω・)?どうして かっぱ怒るのにゃ?
るぴさんに書いてもらって、うちの子たちも喜んでるはずにゃ(´∀`)ノ
三村のかっこよくて、ちょっと変なところとか、とってもステキだったです(゜∀゜*)
蒼華ちゃんとのふれ合いも感動的だた~(;∀;)うるうる
るぴさんは、蒼華ちゃんと会話する時は普段よりクールなのにゃ(゜∀゜)にゃは
本当にありがとうでした_(._.)_ぺこり
by K-STYLE (2009-11-13 23:44)
うわ~、小説のプレゼント、すっごく素敵なのです!!!
内容もルピさん、蒼華ちゃんと
かっぱちゃんの真昼の月との夢のコラボ、
読んでてすごく楽しかったのですっ><
それに読みやすくて、スラスラ読んじゃったですww
最後のお別れのシーンとかはジーンときたです・・・(涙)
やっぱりお話書けるのってすごいな~って改めて思ったです^-^
ではではなのでーす^^
by satoru (2009-11-14 16:03)
るぴさんこんばんわ(*'∇')/小説お疲れ様でした~!
すごくよかったよ~♪みんな優しい人たちばかりだぁ::
最後のお別れのシーンもすごく良くて思わず涙ぐんだ
ですよ(:_:)どのキャラもちゃんと特徴をつかめてたよ♪
良いお話が読めて楽しかった~^^
by セイバー (2009-11-16 18:46)